アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎イメージ画像

アトピー性皮膚炎は、かゆみの強い湿疹を繰り返す慢性の皮膚疾患です。
遺伝的素因やアレルギー体質、皮膚バリア機能の低下、生活環境などが発症・悪化に関与します。
乳幼児から成人まで幅広い年齢層でみられ、年齢により症状や部位が異なります。
根本的な完治は難しいものの、適切な治療とスキンケアにより、症状をほぼゼロに近づけることも可能になっています。

当院のアトピー性皮膚炎診療の特長

日本皮膚科学会ガイドラインに沿った標準的かつ安心できる治療を提供します

治療にあたっては、日本皮膚科学会のガイドラインに基づいた「段階的治療」を採用しています。
症状の強さや部位、年齢に応じて、保湿や外用薬から内服薬・注射薬まで適切に組み合わせ、じっくりと続けられる治療を行います。

アトピー性皮膚炎治療に豊富な経験をもつ皮膚科専門医が診療を行います

乳幼児から成人・高齢者まで、幅広い年齢層のアトピー治療を多数経験してきた皮膚科専門医が、ひとりひとりの症状や生活スタイルに合わせて診療します。
アトピー性皮膚炎の治療は「コントロールし、良い状態を維持する」ことを大切にしています。

重症例に対する先進的な治療(生物学的製剤・JAK阻害薬)にも対応しています

当院は、日本皮膚科学会に承認された「分子標的薬使用施設」です。
外用療法など既存の治療で十分な改善が得られない方には、生物学的製剤(デュピクセント®、アドトラーザ®、イブグリース®、ミチーガ®)や、JAK阻害薬(リンヴォック®、サイバインコ®、オルミエント®など)による専門的治療が可能です。(一定の基準あり)これまでの治療でお悩みの方も、ぜひ一度ご相談ください。

アトピー性皮膚炎の治療のゴールとは?

アトピー性皮膚炎は「すぐに完全に治る」病気ではありません。
そのため、治療のゴールは、症状がなくなることだけを目指すのではなく、かゆみや湿疹をうまくコントロールしながら、日常生活を快適に送れる状態を長く保つことです。
適切な治療とケアを行うことで、健康な肌を維持できる状態に導くことができます。
皮膚を良い状態に保ち、

  • かゆみで眠れない
  • 人前で肌を見せるのがつらい
  • くり返し悪化してしまう

といった悩みを少しでも減らして、「あたりまえの毎日」を取り戻すことが、私たちが目指す治療の目標です。
症状が落ち着いた後も、再発を防ぐための「予防的なスキンケア」や「続けられる治療」がとても大切になります。

アトピー性皮膚炎の治療ステップ

step1:
かゆみや湿疹、炎症を速やかに抑えるための治療
step2:
かゆみや湿疹、炎症を再燃させないための段階的治療
step3:
皮膚をよい状態に保つためのスキンケアを中心とした治療
治療ステップの図
マルホ株式会社HPより

アトピー性皮膚炎の治療方法

外用薬による治療(皮膚に塗る薬)

治療の基本は、炎症を抑える外用薬(ぬり薬)です。
皮膚の状態に応じて以下の薬を使い分けます。

ステロイド外用薬
炎症を素早く抑える効果があり、急な悪化時にもよく使われます。
非ステロイド外用薬
(長期的な使用に適しています)
  • タクロリムス軟膏(プロトピック®軟膏)
    皮膚の免疫反応を調整し、炎症をやわらげます。
  • JAK阻害薬(コレクチム®軟膏)
    炎症やかゆみを引き起こす細胞の働きを抑えます。
  • PDE4阻害薬(モイゼルト®軟膏)
    かゆみや湿疹をやわらげる、新しいタイプの外用薬です。
  • AhR調節薬(ブイタマー®クリーム)
    皮膚のバリア機能を整えながら、炎症をおさえる薬です。

炎症が落ち着いても塗るのをやめず、再燃を防ぐために週2回など定期的に塗る「プロアクティブ療法」が効果的です。

内服薬による治療(飲み薬)

外用薬だけで効果が不十分な場合は、飲み薬を併用します。

抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)
かゆみを和らげる代表的なお薬です。
最近は眠くなりにくいタイプが多く使われています。
シクロスポリン
免疫の働きを一時的に抑える飲み薬です。
効果は高いですが、腎臓や血圧への影響があるため、使用期間が限られ、定期的な検査が必要です。
JAK阻害薬(リンヴォック®、サイバインコ®、オルミエント®)
これまでの治療で改善が難しかった一定の基準を満たす重症の方の内服薬の選択肢です。
かゆみや炎症を起こす複数の炎症物質(サイトカイン)をブロックします。
効果は速く出やすいですが、感染症リスクに配慮し、採血や胸部検査を行いながら使用します。

注射薬による治療(生物学的製剤)

これまでの治療で改善が難しかった一定の基準を満たす重症の方に、注射による専門的治療も選択肢となります。

デュピルマブ(デュピクセント®)
かゆみと炎症の原因となるIL-4・IL-13を抑える薬
トラロキヌマブ/レブリキズマブ(アドトラーザ®/イブグリース®)
IL-13をターゲットにした、皮膚炎・かゆみに有効な薬
ネモリズマブ(ミチーガ®)
かゆみの原因となるIL-31を抑制し、「かきこわし」の悪循環を防ぎます

いずれも定期的な注射で体質的な炎症反応をコントロールする治療法です。副作用や保険適応を含め、医師と相談しながら進めていきます。

当院のアトピー性皮膚炎の治療方針

当院では、アトピー性皮膚炎の治療において

  • 日本皮膚科学会ガイドラインに基づいた安全で効果的な診療
  • 一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた薬の選択
  • 継続しやすい「治療とスキンケアの両立」

を大切にしています。
「よくなったり悪くなったりをくり返してつらい」「薬を減らしたい」「かゆくて眠れない」など、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。