爪トラブルの主な症状・疾患

爪水虫
爪白癬は、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)が爪の中に感染して起こる病気です。
いわゆる「水虫」の一種で、足の爪(特に親指)に多くみられます。
自覚症状が少ないため見過ごされやすいですが、放置すると他の爪や家族にうつる可能性があるため、早めの診断と治療が大切です。
主な症状
- 爪が白く濁る・黄ばんでくる
- 爪が分厚くなる、ボロボロと崩れる
- 表面がでこぼこ、もろくなる
- 靴や歩行時に違和感や痛みを感じることも
※爪の変形や変色は、他の病気(乾癬・外傷・加齢など)でも起こるため、顕微鏡や抗原検査での診断が必要です。
診断
当院では、爪の一部を採取して顕微鏡検査や抗原検査を行い、白癬菌の有無を確認します。
目視だけでは正確な診断が難しいため、検査での確定診断が重要です。
治療法
- 外用薬(塗り薬)
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- 軽症例や初期の爪白癬、内服ができない方に用います。
- 1日1回の継続塗布が必要で、効果が出るまでに数か月以上かかります。
- 主な外用薬:エフィコナゾール液(クレナフィン®爪外用液)、ルリコナゾール液(ルコナック®爪外用液) など
- 内服薬(飲み薬)
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- 複数の爪が感染している場合や進行例に有効です。
- 白癬菌を内側から退治し、爪の根元から健康な爪の再生を促します。
- 代表的な薬:イトラコナゾール(イトリゾール®)、テルビナフィン(ラミシール®)、ホスラブコナゾール(ネイリン®)など
- 肝機能などの定期的な血液検査が必要です。
治療期間について
- 爪はゆっくり伸びるため、治療には半年〜1年程度かかることもあります。
- 根気強く継続することが大切です。
放置しないことが大切です
爪白癬を放置すると、
- 他の爪にも広がる
- 足の皮膚にも感染する(水虫の再発)
- 家族にうつすリスクがある
- 巻き爪や変形の原因になる
などの問題が起こる可能性があります。
当院では、顕微鏡検査・抗原検査による正確な診断と、症状に応じた適切な治療(外用薬・内服薬)を提供しています。
「爪が濁ってきた」「厚くなってきた」「これって水虫?」と思ったら、ぜひ一度ご相談ください。
巻き爪
巻き爪とは、爪の両端が内側に巻き込むように変形し、皮膚に食い込んでしまう状態を指します。
足の親指によく見られ、痛みや腫れ、炎症を引き起こすことがあります。進行すると、歩行や靴を履くことすら困難になることもあります。
主な原因
巻き爪は、以下のような原因が重なって発症します:
- 深爪(爪の切りすぎ)
- きつい靴やヒールなどの圧迫
- 歩き方のクセ・姿勢の問題
- 加齢や爪の乾燥・変形
- 遺伝的な爪の形や体質
巻き爪の治療法
当院では、症状の程度や爪の形に応じた保存的な矯正治療を行っています。
※外科的な抜爪は行わず、できるだけ痛みの少ない方法で改善を目指します。
ワイヤー矯正法(自費診療)
専用のワイヤーを使って、巻き込んだ爪を少しずつ正常な形に戻す方法です。
- マチワイヤ®
- 細い形状記憶合金のワイヤーを爪に通し、内側からゆっくりと爪の湾曲を改善します。
見た目も目立ちにくく、日常生活に支障がありません。 - コレクティオパーフェクト®(巻き爪補正ワイヤ)
- 爪の両端にワイヤーを引っ掛け、ねじり上げることで矯正します。
見た目も目立ちにくく、日常生活に支障がありません。
人工爪による矯正:オニコア®(自費診療)
オニコア®は、医療用人工爪補正材を用いて、爪の表面に樹脂を塗布・硬化させることで、見た目を整えながら矯正効果を高める方法です。
巻いた部位を切り取り、樹脂で補正をして人工的に爪を作り、自爪が上手く伸びるようにサポートします。
見た目も自然で衛生的な仕上がりが特徴です。
このような方はぜひご相談ください
- 爪の端が皮膚にくいこんで痛い
- 爪が丸まっている
- 歩くときに違和感がある
- 以前より市販のテープや器具では治らない
巻き爪は、早期に適切な処置をすることで悪化を防げます。
痛みが出る前からのご相談も歓迎しています。
当院の治療方針
症状や爪の状態、ライフスタイルに合わせて、ワイヤー法(マチワイヤ®・コレクティオ®)や人工爪補正(オニコア®)などから最適な治療法をご提案いたします。
「手術は怖い」「できれば切らずに治したい」――そんな方もお気軽にご相談ください。
陥入爪
陥入爪は、爪の端が皮膚にくい込み、炎症や痛みを引き起こす状態です。
主に足の親指に発生しやすく、赤み・腫れ・化膿・出血・肉芽(にくげ)と呼ばれる盛り上がりを伴うことがあります。
悪化すると、歩行が困難になる・靴を履けないなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
主な原因
- 深爪(爪の切りすぎ)
- きつい靴やヒールなどの圧迫
- 体重のかかり方のクセ・歩き方の異常
- 爪の変形(巻き爪の一部として起こることも)
当院で行う治療法
症状の有無や爪の状態に応じて、治療法を選択します。
炎症がある場合(化膿・肉芽形成あり)(保険診療)
- くい込んでいる爪の一部(爪棘:そうきょく)を丁寧に切除
- 腫れや痛みのある肉芽組織が増生している場合は、必要に応じて切除処置
- 抗生物質の内服や、必要に応じて局所外用治療も行います
まずは炎症や感染をしっかり落ち着かせることが重要です。
炎症がない場合(慢性・軽度の状態)(自費診療)
炎症がない状態では、爪の形を整え、皮膚にくい込まないよう補正する保存療法を行います。
- ガター法
- くい込み部分にチューブを挿入して爪が皮膚に直接当たらないようにする処置です。痛みも少なく、シンプルで効果的です。
- 人工爪補正(オニコア®)
- 爪の形を整える専用の人工爪(補正材)を用い、再発を防ぎつつ、見た目にも配慮した治療が可能です。
このような方はご相談ください
- 爪のわきが赤く腫れて痛い
- 何度も同じ場所が腫れて化膿をくり返す
- 自分で爪を切っても悪化してしまう
- 肉芽(盛り上がった赤いできもの)ができている
当院の治療方針
当院では、できるだけ爪を抜かず、保存的・低侵襲な治療を行っています。
炎症の有無や再発リスクを見極めながら、患者さん一人ひとりに合った方法をご提案いたします。
お悩みの方は早めの受診をおすすめします。
肥厚爪(爪甲鉤弯症、重積爪)
肥厚爪(ひこうそう)は、爪が分厚く変形し、黄色や白色に濁って盛り上がった状態をいいます。
「爪甲鉤弯症(そうこうこうわんしょう)」や「重積爪(じゅうせきそう)」も含まれます。
巻いたり反り返ったりすることもあり、靴が当たって痛みを生じたり、歩き辛くなったりします。
主な原因
肥厚爪は、以下のような要因で起こることがあります:
- 加齢や血流の低下による爪の代謝異常
- 足の圧迫や外傷(靴が当たる、爪をぶつけるなど)
- 爪白癬(爪の水虫)による爪の変形
- 寝たきりや歩行困難による爪の成長不全
- 巻き爪や陥入爪を放置した結果として
※外見だけでは爪白癬との区別が難しいため、必要に応じて検査を行います。
当院での治療法
当院では、肥厚爪の状態に合わせて以下のような処置・補正を行います。
いずれも痛みの少ない保存的治療を基本としています。
1. 爪切り処置(メディカルネイルケア)(自費診療)
医療機関ならではの器具を使用し、硬くなった爪・変形した部分を丁寧にカットします。
市販の爪切りでは難しい方や、ご高齢の方でも安心して受けられます。
2. グラインダーによる削り処置(自費診療)
専用の電動器具(メディカルグラインダー)で、分厚くなった爪を少しずつ削り、自然な厚さ・形に整える処置です。
痛みはほとんどなく、爪の見た目や圧迫感も改善されます。
3. 人工爪による補正(※爪甲除去が必要な場合)(自費診療)
爪が重度に変形している場合は、変形した爪の一部または全体を除去した後、人工爪(オニコア®)で補正を行います。
整った形に整えることで、見た目の改善と爪周囲の皮膚への負担軽減につながります。
ご相談ください
- 爪が分厚くて靴が当たる
- 爪が変色して削れない
- 自分で切れず困っている
- 他人の目が気になってサンダルが履けない
このようなお悩みのある方は、お気軽にご相談ください。
当院では皮膚科専門医が診断の上、安全に医療処置を行います。